高橋さん写真

まつもとフィルムコモンズメンバー~高橋さんインタビュー


高橋さんは「山山食堂(さんさんしょくどう)」店主。

地域映画の上映会・座談会「8mm映写室」開催場所としてお店を提供してくれている、まつもとフィルムコモンズの立役者のひとりです。

山が好きで松本に移り住んだ高橋さんがおひとりで営む店は、パン&コーヒーかご飯&味噌汁から選べるモーニングセット、お昼には旬の野菜をふんだんに使った定食、カフェ利用もできる食堂です。

古い蔵をリノベーションしたスペースと古道具を使ったインテリア。懐かしいような落ち着く空間で、山好きや老若男女がホッと一息付きに訪れる場所です。

高橋さんに、地域映画について、8mmの映像について今感じていることなどを、お話いただきました。

Q⒈ 「地域映画」を知ったきっかけから教えてください

三好大輔さんと知り合ったきっかけはもう忘れちゃったんだけど、お客様として来てくれていた三好さんから、お店での上映会を提案されたことが始まりだったと思う。

その時ちょうどコロナ第一波だったこともあって、当初は単発の上映会という案だったんだけど、それすらなかなか実現できなかったんだ。

2022年に年をまたぐ頃、やっと、松本版の作成も見越して活動を始める手始めとして定期的な上映会を企画することになった。

僕自身、第1回目の上映会まで、「地域映画」を見たことがなかった。

あらかじめ見たりせず、僕も観客の一人となって見るようにしたのは結果的に良かったと思う。

Q2. 「地域映画」を初めて見たときに感じたことを教えてください。第1回の上映会は、たしか墨田でしたっけ?

※インタビュー後に確認したところ、8mm映写室の第1回は2022年2月20日「8mmの記憶」(東京都墨田区)でした。

まだ僕が生まれる前や、ちっちゃな頃のギリギリ知らない時代のことが多くて。

その時代の生活とかが映っていることが、面白いと思ったかな。

懐かしさも感じた。

今と比べて人と人の距離感が近くて、家族や親戚の数が多い。

わらわらと人が映っているのがおもしろかった。

Q3. 何本も見るうちに感じた、最初の印象とは違った魅力などがありましたら、教えてください。

それに魅せられちゃった、と三好さんがよく言っているんだけど、8mmの映像を見ている人を見るのが、いいと思った。

「地域映画」の中に、撮影者やご家族が見返しながら話している映像が多く織り込まれるようになっていって、僕もそれを見るのが好きなんだな。

何本も見るうちに作り込まれたもののおもしろさも感じるようになった。

演出された自主映画のような映像だったり、撮影者が撮影する対象に少し演技を要求して撮ったようなもの。

あとは、定点で繰り返し家族を撮影した映像などもあって。

そういう映像を見て、「残すことのおもしろさ」にも気が付いていった。

映像だと、(写真と比べて)意図しないものが写り込んでいたりして、撮影者やご家族が見返して驚いている。

昔のものを見返して驚きがあるっていうのがいいなと思った。

–毎回上映後に行われる、座談会を通じて感じたことなどもあったら、教えてください

8mmの映像の揺らぎ、コマ数の少ないことや不鮮明さによる余白によるんだと思うんだけど、人によって見方がバラバラ、いい意味のバラツキがある

同じ映像を見ていても、人それぞれ見ている部分が違う。

色んな年代や地域出身の人が来て感想を話してくれることによって、考える余地が生まれるのがおもしろい。

Q4. 松本の「地域映画」に期待することがあったら教えてください

山を見たいな。登っている様子や、当時の人の登山の装備など、見てみたい。

松本の人って山があることが当然で意外と関心が薄かったりもするから、撮影者の視点から、当時の松本の人がどんな風に山を見ていたのかを想像しながら見るのも、楽しみだね。

自分が今生活している町を見るのも。ちょうど今、松本の古い町並みが映った写真集を貸してもらって見たりしているんだけど、今の町並みと比べて見るのも面白いよ。

Q5. 他に何か言いそびれたことがあったら、教えてください!

さっき言ったこととちょっと重複しちゃうんだけど、8mmの映像には「古いから」という価値だけでなく、8mmにしかない、ゆらぎ・余白のおもしろさがあると思うんだよね。

4Kの映像を見るときとは違う、想像力の余地があるから、見ているひとの反応もおもしろい。

「地域映画」の活動がなければ、ご自身で再生することもなかっただろう映像も、この活動によって再生され、またもう少し時代をまたいでいろんな世代の人に伝わっていくといいなと思う。

無くしてしまったら、それで終わりだけど、それを繋いでいくことに価値があると思う。

—高橋さん、ありがとうございました!

※「山山食堂」は、このクラウドファンディングのリターン品としてモーニングペアチケットもご提供してくれています。

2月に予定されている完成上映会の後など、山山食堂を訪れ、高橋さんと映画の感想を話してみるのも良さそうです!

7月24日(日)18:30〜 「8mm映写室 #11」かさま郷奏曲(茨城県笠間市)開催予定。(要事前予約・予約受付終了)